私たちの什器に「高さ」がある理由

今年1年お世話になった、出店用の什器をリペアしています。
Takane Sewing Studio のイベント出店で使用される什器は、全て手作りしています。室内用は古い梯子がモチーフに、屋外用は白い角ログ板を組み立て、それぞれお店を建ち上げます。
出店の際の敷地面積は、3m×3mがほとんどです。 商品を全て効率よくハンガーに掛け、並べるには限界がありました。特に雨天時の屋外出店では、雨や地面からの泥跳ねなどから洋服を守らねばならず、ひと工夫が必要です。 また、私たちの服の性質上、なるべく着用した時の状態に近いディスプレイにし、お客様にコーディネートやスタイルをイメージしやすいものにしたいと考えました。
そこで当初、どんなお店にするべきか考案した時、私たちの導き出した答えは「高さ」でした。
しかし「高さ」とひとことで言っても、それはとても難しい課題でした。
実は、Takane Sewing Studio の服のデザインは、「〜になり過ぎない」というキーワードが発端になっていることが多いです。 「派手になり過ぎない」「甘くなり過ぎない」「重くなり過ぎない」……。 それは、Takane Sewing Studio の服が購入されたその先で、お客様のお手持ちのお洋服にもピッタリと寄り添えるように考えられたアイデアでした。
あえて個性を主張しすぎず、お客様の日常に溶け込む「調和」を優先させたのです。 それでもほんの少しだけ、私たちが「カワイイ」と思ったり「とても便利」とお客様に感じていただけるエッセンスを、最大限に織り込みながらお洋服を仕立てています。
ところがそんな私のお洋服たちは、商品としてはとても控えめで、ともすればその他大勢の群衆の中に埋没してしまいます。
話は戻りますが、そんな控えめなお洋服を素敵にご覧いただけるひとつの方法として、どうしても「高さ」が必要でした。
沢山の針の穴を通すようなバランスで作られたのが、今使用しているお店の什器なのです。
1年間、メンテナンスなしで使われたお店のあちこちがちょっとずつ傷んでいるので、冬に向かうこの季節は、そのリペアに時間を割くことにしています。